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株式会社ALPAシステム様は、2016年の設立以来、大阪・泉州の貝塚市を拠点に、基幹システムの構築から開発コンサルティングまで、業界を問わずシステム開発を手がけてこられました。近年は、エンジニアがお客様の現場に入るSES(客先常駐)を中心に事業を展開されています。
AIによって開発のあり方が大きく変わりつつある今、同社は「今のままのSESではいけない」と、自社プロダクトを起点とした新たな方針に踏み出しています。その第一歩となったのが、2026年6月に始まった弊社・合同会社StegのAI伴走研修です。
研修では、週に一度、実際にものを作りながらAI駆動開発を学んできました。社内向けのWebアプリに始まり、3Dのゲームまでを形にしています。研修の外では、勤怠システムをひとりで完成させました。
AIに丸投げしたのではありません。アプリケーションの構成と開発の流れを理解したうえで、自分の手で作れるようになりました。ここに至るまでの経緯を、代表取締役の大浦勇二様に伺いました。
大浦様は、20年以上にわたって開発の現場に立ってきたエンジニアであり、経営者です。
── AI伴走研修を始める前、どのような思いを抱えていらっしゃいましたか。
大浦様: SESは、人がお客様の現場に入って、その分の対価をいただく仕事です。1人月を稼いで、それで終わり。AIで開発のあり方がこれだけ変わってくると、今のままのSESを続けていてはいけない、という感覚がありました。
大浦様: それに、自社のプロダクトを世に出したいという思いは、昔からずっとあったんです。自社のロゴが付いたものが世に出て、誰かに使ってもらえている状態です。ただ以前は、作るには人を集めて、体制を整えて……という話になる。なかなか手が出せませんでした。
── AIの登場で、その前提が変わったと。
大浦様: 1人か2人でも、プロダクトを作れる時代になったと思いました。
── AIツールは、以前から使っていたのでしょうか。
大浦様: Claude Codeは契約していました。ただ、普段はお客様の現場に入っていて、そこでは使えません。ホームページのバナーを直すくらいで、ほとんど使えていなかったですね。
会社として新しい方針を打ち出す。その第一歩として始めたのが、今回のAI伴走研修でした。

研修で大切にしたのは、知識を詰め込むより、実際にものを作りながら進めることでした。
── もともとエンジニアでいらっしゃいますが、研修を始めた時点で、AI駆動開発はどう見えていましたか。
大浦様: システム開発の経験があったので、システム全体の構成はイメージできていました。ただ、バイブコーディングを中心としたAI駆動開発のやり方は、あまり見えていませんでした。どうやったらいいのか分からない状態でしたね。
大浦様: 最近の開発のスタイルや技術構成も知りませんでしたし、TypeScriptやReactも、自分で手を動かして実装したことはありませんでした。でも逆に、AI駆動開発をするにはちょうど良いと思いました。
一作目の題材に選んだのは、社内で定期的に開いている勉強会の記録を残すアプリです。勉強会は口頭での発表が中心で、内容が残っていませんでした。社内のメンバーだけがログインして、Notionのように記事を書いて読める、内部向けのWebアプリとして作ることにしました。
進め方も、これまでの開発とは違います。まずAIと一緒に仕様書を固め、デザインツールのPencilで画面の見た目を先に作る。その2つをClaude Codeに渡して、実装を任せます。
構成も、1台のサーバーですべてを動かすのではなく、役割ごとにクラウドのサービスを組み合わせる形をとりました。

手元のPCで動かせるようになったら、本番の環境を一つずつ整えていきます。データベースの用意、画像の保存先、許可したメンバーだけが登録できるログインの制限、GitHubでのソースコード管理、そしてVercelでの公開。本番でしか必要にならない設定にも、ここで一通り触れました。
研修を始めてから約1か月半で、社内のメンバーが使える状態になりました。
一作目を通して見えてきたのは、AI駆動開発の全体像でした。
最初に一度だけ、土台をつくる工程があります。仕様を決め、見た目をつくり、手元で実装し、本番の環境を整える。ここを越えれば、あとは修正を依頼して、mainブランチにpushするだけで本番に反映されます。

── 土台ができてから、何が変わりましたか。
大浦様: スマホのClaudeから「ここをこう直して」と送っただけで、コミットされて、本番まで反映されて、ちゃんと動いたんです。ちょうどXで「非エンジニアに社内システムの開発は無理なんじゃないか」という議論を見ていたところだったので、驚きました。
大浦様: 一度ベースを作ってしまえば、パソコンからでもスマホからでも直せます。開発のスピードがまったく違いますね。
── 一作目を終えて、ものの見え方も変わりましたか。
大浦様: AI駆動開発には大きくどういうフェーズがあって、全体がどういう構成になっているのか。それがイメージできるようになりました。2作目、3作目を作るとなったときも、どこから手をつければいいか、どのくらいの規模になりそうかが想像しやすいんです。
AIに任せれば、コードは書けます。ただ、構成と流れを知らないままでは、次のアプリでも同じところでつまずきます。一作目で型をつかむこと。それが、この研修でまず目指したことでした。
その手応えを確かめる出来事がありました。勤怠システムの作り直しです。
同社では数年前、大浦様みずからがPHPで勤怠の仕組みを作り、運用してきました。LINEから出勤・退勤の打刻や、有給の申請・承認までできる仕組みです。これをAI駆動開発で作り直しました。研修の時間ではなく、大浦様がひとりで進めたものです。
── 勤怠システムは、研修の外で作られたそうですね。
大浦様: 前に自分でPHPで作ったときは、かなり時間がかかりました。今回は、仕様をAIと詰めて、構成も一作目とそろえて、最後までひとりで作りきれました。
── AIの提案は、そのまま採用されたのですか。
大浦様: そうとは限りません。たとえば給与明細のPDFの置き場所について、AIはデータベースと同じサービスのストレージを使おうと提案してきました。ただ、サービスによっては料金体系が急に変わることがあります。実際に困った経験もあったので、研修で相談したうえで、データベースとファイルの置き場所は分けることにしました。
大浦様: LINEのままにするかどうかも考えました。普通のWebアプリにしたほうが、構成はシンプルです。でも、使う人の中にはITに詳しくない人もいる。普段から使っているLINEで完結するほうが、現場には合っていると判断しました。
研修で一作目を作り、研修の外では勤怠システムをひとりで完成させる。AI駆動開発で、アプリケーションを自分の手で作れるようになったことを示す出来事でした。

研修の後半では、新たにゲーム開発に取り組みました。
── 次の題材に、ゲームを選んだのはなぜですか。
大浦様: スマホのブラウザで遊べるゲームは、10年ほど前からやりたかったんです。ただ当時は、どうやればいいのか分かりませんでした。Webで作ったものをスマホのアプリのように使えるPWAの話を聞いて、まさにやりたかったことだと思いました。
作ったのは、3Dの物理演算を使ったクレーンゲームです。ブラウザの上に3Dの空間を描き、物体が重力や衝突にしたがって動きます。
見た目の質を上げるために使ったのが、公開されている3Dモデルの素材と、3DモデリングソフトのBlenderです。モデルをゼロから作るのではなく、ライセンス上利用できる既存のモデルを選び、Blenderで手を加えてゲームに取り込みました。素材に合わせて、ゲームの仕組みのほうを大きく作り変えたこともあります。
── 3Dの素材を取り込んでみて、いかがでしたか。
大浦様: AIに丸投げしているだけだったら、ここまではたどり着けなかったと思います。
ゲームはWebアプリケーションとして公開し、PWAにも対応しています。スマホのホーム画面に追加すれば、アプリのように遊べます。
作ったゲームは、営業の入口にもなります。
── このゲームを、どのように生かしていきますか。
大浦様: 「シンプルなゲームを作りました」と見せるだけだと、相手は「ふーん」で終わってしまいます。そこで、企業の展示ブースで使ってもらうことを考えました。ゲームが遊べるiPadを1台置くだけで人が集まりますし、その場で景品も渡せます。
大浦様: 景品は、その会社のロゴ入りにもできます。取引先や新しく知り合った会社に「御社の商品で一度やってみましょう」と言えれば、また会うきっかけにもなります。
誰に、どう見せるかまで考えることで、作ったものが事業の種になる。この研修は、ものを作るだけでなく、会社の新しい方針の種まきにもなりました。

── 今後は、どのようなことに取り組んでいかれますか。
大浦様: 幅広く開発ができるようになってきたので、次は自分なりのAIエージェントの基盤を作りたいと考えています。どこにいても、AIに大きな仕事を任せて、プロジェクトを前に進められる仕組みです。
大浦様: 事業としても、自社の製品やAIを使ったサービスを起点に、新しい切り口を開いていきたい。LINEで使える勤怠の仕組みも、同じように悩んでいる中小企業に届けられると思っています。
株式会社ALPAシステムの事業や自社開発の取り組みは、同社のWebサイトで紹介されています。
── この度は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。